(この記事はタイパー Advent Calendar 2019 7日目の記事です)

こんにちは。ブラウザでプレイするタイピング速度測定というタイピングゲームを作っているHealer.Oです。

タイピングゲームを提供する側の立場から思っていることをまとめました。技術的なお話はあまりありません。気になることがありましたら、お気軽にTwitterでお声がけください。フォローも歓迎します。

画像:タイピング速度測定

画像:タイピング速度測定(ブラウザに負荷がかかってしまっため、過去最高記録の瞬間打鍵速度が恐ろしいことになっています)

何をしているひと?

株式会社インフォビジョンのスタッフの一人で、タイピング速度測定を作っています。

普段のお仕事はフロントエンドエンジニアと呼ばれるものに近く、主にHTMLやCSS、Javascriptを使ってお客さんのWebページを作ったりメンテナンスしたりしています。

プログラミングスキルは「まあ、そこそこかなあ」といった程度で、現職のプログラマーさんには敵いません。わからないことだらけです。タイピングゲームに実装したい処理や疑問に思ったことは都度、ネットで検索して対応してきました。

タイパースキルは600kpm(タイピング速度測定でS+6)程度で、こちらもタイパーとして見ると「まあ、そこそこかなあ」といった程度です。90年代にワープロや美佳のタイプトレーナ(通称:美佳タイプ)でのタイピングにハマり、アーケード版「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」で、一度だけワンコインクリアを達成しました。

社会人になったことで00年代以降はタイピングから離れていましたが、タイピング速度測定を作ったことをきっかけにタイピングを再開しました。

画像:開発画面のイメージ

画像:開発画面のイメージ

タイピング速度測定(通称:タイ速)とは

Javascript(初回リリースの2010年6月~2016年6月まではSilverlight)で動作するタイピングゲームです。
最近はネットの動画配信でも利用していただくことがあり、嬉しく思います。

なるべくストレスのないタイピングゲームを目指しており、最初からお題が見える、次に打つお題も見える、30秒で終了、長音記号と数字と句読点がない、ミスタッチがスコアに影響しない、お題が「ん」で終わらない、といった特徴があります。
最新のブラウザであれば、PCだけでなくスマホやタブレットからも動作します。

少し変わったお題を設定しているのは、他のタイピングゲームとの差別化を図る目的があります。
これらのお題は毎月15日頃に100個すべて入れ替えています。

タイピング速度測定はタイピング初心者~中級者の方をメインターゲットとして想定しています。
タイピングの門となり、ここでの経験を踏まえて次のステップに進んでいただければ幸いです。詳細な結果が残らないので、700kpmを超えるタイパーの方には物足りないかもしれませんが、よろしければ気分転換にどうぞ。ご参考までに、2019年12月現在の最高記録は1076kpmです。

画像:ローマ字入力の総合ランキング

画像:ローマ字入力の総合ランキング(お名前は加工しています)

なぜタイピングゲームを作ったか

元々はお客さん向けに技術サンプルとして作ったページで、広く一般に公開するために作ったものではありませんでした。

作成から2年くらい放置していたところ、サーバーログを見るとタイピングページだけ毎日200回くらい閲覧されていることに気が付き、調べてみると某巨大掲示板にURLが貼られていることを知りました。
「それだけユーザーさんがいるのなら」ということで社長と相談して正式サービスとして提供することになりました。2012年の夏頃だったと思います。

画像:巨大掲示板のイメージ

画像:巨大掲示板のイメージ(画像は加工しています)

正式サービスとして公開後、ユーザーさんから改善要望をいただき、ランク調整や「c」打ち「xn」打ちの実装、ランキング登録など、さまざまな変更を加えていきました。
こんなに機能追加を重ねるつもりはありませんでしたが、ユーザーさんと関わっているうちに、いつの間にやら自分も熱心になってきました。自分が作ったものをプレイいただいたり、ユーザーさんから感謝されたりするというのは、思っているよりもモチベーションが上がるものです。

継続したサービスの提供に向けて

多くのタイピングゲームは無料でプレイできますが、そのサービスを提供するにはコスト(サーバー運営費用、開発者の人件費など)がかかります。継続してサービスを提供していくためには、モチベーションの維持だけではなくマネタイズ=収益化がとても重要になります。そして、それはとても難しいことです。

否定から入ってしまって申し訳ないのですが、スマホ/PCゲームは無料でプレイできて当たり前となった今日、よほど魅力的な内容であるか、熱狂的な人でもない限りタイピングゲームに課金しようなどとは思わないのではないかと考えています。収益を得るには、かなりの時間とコスト、何よりも工夫が必要です。

現在は「とりあえず」としてバナー広告を少しだけ設置させていただいています。バナー広告を表示しないアドインがあるためか、それとも単純に広告の見えるところまでページをスクロールされないせいか、今のところページビューから期待できるほどの売り上げはない状態です。
それでも会社にコストを払ってもらいながら継続してサービスを提供できているのは、ありがたいことにサークル活動のようなものとして採算度外視でサービスの提供を会社に認めてもらっているためです。

スポンサー企業がつけばそれなりの売り上げが望めるのかもしれません。バナー広告やお題の設定権を買っていただいたり、コンテスト用の賞品を提供いただけたりするような企業さんがいらしたら、ぜひご連絡ください。

画像:広告掲載ページ

画像:広告掲載ページ(画像は加工しています)

タイピングゲームのメンテナンス

タイピング速度測定ではお題更新を毎月、機能追加を不定期で行っています。

お題の定期更新は今月で8年目に突入しました。もはやライフワークとなっています。機能追加は時間とやる気の両方があるときにまとめて行います。やる気は揮発性のため、あとからではできないのです。ごめんなさい。

これらのメンテナンスは、タイピング速度測定が必要とされている間は続けるつもりです。

とはいえ、あくまで「つもり」です。もしも途中で嫌気が差したり、会社を辞めたりしちゃったら、そのときはどうしようかなあと考えることがあります。代わりに更新ができそうなスタッフはいないので、希望する方にソースコード一式とマニュアルを譲渡することになるかもしれませんし、完全消失となるかもしれません。

できることならば、定年退職するまでずっと続けたいと願っています。

画像:過去のお題

画像:過去のお題

これからのタイピングゲーム

この10年でスマホが爆発的に普及し、キーボードを使わず長文を作るという人も珍しくなくなりました。
現にこの記事の大半は、電車で揺られながらスマホでフリック入力したものです。

これからのタイピングゲームの入力方式は「ローマ字入力」「かな入力」に加えてスマホの「フリック入力」も一般的になるのでは、と考えています。フリック入力とキーボード入力を同じスコアで競うことはできないものと思いますので、何かしらの係数を設定する必要がありそうです。
もっと先の世界になると「音声入力」「脳波入力」なども増えてくるのかもしれませんが、それを考えるのはもっと先の世界が見え始めてからにします。

これによって新たなタイパーさんが増えてくれると嬉しいです。既存のタイピングゲームだと、この3種類の入力にすべて対応するということは難しいかもしれませんが。

ちなみに文章入力速度測定では、この3種類の入力対応を目的としてα版を公開しています。よろしければお試しください。漢字変換も含みます。

画像:文章入力速度測定

画像:文章入力速度測定

加えて、タイピングに興味のある人のための初心者向けタイピングゲームが増えることを願います。

タイパー人口の裾野を広げ、競技タイパーの輩出を期待するものです。そのためにはタイピング練習を目的としたゲームではなく、エンターテイメント性の高い、本当の意味でのゲームであるべきだと考えています。それが具体的に何なのかはさておき。

おわりに

他のタイピングゲームの開発者さんに興味があります。どういう思いでタイピングゲームを作ったのか、タイパーとしての腕前はどうなのか、とか。

タイピングゲーム開発者を対象としたタイピング大会なんていうのがあったら参加してみたいです。その際にプレイするゲームには、ぜひタイピング速度測定を加えてください。

画像:アーケード版「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」の1コインクリア記念画面(2000年頃撮影)

画像:アーケード版「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」の1コインクリア記念画面(2000年頃撮影)